Tumblrよ、俺を失望させるな。
まずこの話に入る前に経緯を説明すると、最近以下のような出来事がありました。
11 月 16 日(米国時間)に上記タイトルの通り[App Store]からアプリが消える問題が発生しました。 原因を追求してみたところ、児童ポルノの表示フィルタから漏れ、データが表示されていたことのようでした。
この原因をもって Tumblr ではセキュリティポリシーを更新し、 12/17 までにアダルトコンテンツを一切排除して今後一切アダルトコンテンツが表示されないクリーンなものとすると発表しました。
また、この事件の影響かは分かりませんが、Tumblr に関連して日本において児童ポルノ動画をリブログしたことで逮捕された事件も最近起こっておりました。
ブログサービス「タンブラー」に児童ポルノ動画投稿容疑、愛知県立高教諭ら逮捕 京都府警
この発表だけをみると至って全う・健全かのように思われるかもしれませんが、 かつて Tumblr ヘビーユーザーであった自分はこの措置が正しいものなのか疑問に感じているところです。
Tumblr は Twitter と同時期くらいに同じく SNS・ショートブログコンテンツを扱うサービスとして使われていました。 ほかのサービスと一線を画していたのはリブログ機能という引用と同じようにコンテンツを自分のブログに投稿できるものがあります。 また、最たる特徴としてはメッセージ・DM といった密な交流をしなくともユーザー同士の適度な距離感のまま運用できるというメリットがありました。
ただ最近ではアダルトコンテンツを扱うブログ自体も増えてきており、 そうした目的のために Tumblr を利用している人が多く居たというのは事実としてあります。
そこで Tumblr ではアダルトコンテンツを扱う際に NSFW(職場閲覧不適切)のフラグをつけるなどして 棲み分けを確立しておくなどの措置があったり、そもそも Tumblr 側でふさわしくないもの (アダルトコンテンツや特にグロテスク・暴力的なコンテンツ)は削除なりを取るなどしておりました。
しかしながら、このように問題のある投稿に対して全く措置や対応をやっていないわけではなかったですが、 今回の件をもって Tumblr はポリシーを更新して、それらと決別する意思を表明することになりました。
今後のアダルトコンテンツの選定においては内部の AI を使って自動的に判別されるとのことですが、 現状アダルトコンテンツと思わしくないコンテンツすらもアウトになる判定を出しており、 この方針を更に批判的なものとして注目させることとなりました。
少なからず Tumblr で活動していた NSFW アーティストなどはこの騒動を受けて離脱・移行の意思を示しております
この措置について自分は、最近まで日本国内で物議を醸していたサイトブロッキングのそれに近いと思っており、 いわば指先の痛みを除去するために腕そのものを切除するそれだと思っています。
そもそも心地よい無法地帯よろしく、自由な投稿プラットフォームという立ち位置であった Tumblr が NSFW フラグはもちろんのこと違法的なアダルトコンテンツを扱うユーザーや投稿へ注力すべき箇所を、何故すべて分断しうる措置をとってしまったのかが、非常に理解に苦しんでいるところのものです。
かつてデビット・カープがそうしたものを取り締まるべきではないと主張しているのですが、
「ユーザーの言論の自由と創作物のサポートには強行対策をとっているが、取り締まりたいわけではない」
彼がこの Tumblr を去ってしまって、もう 1 年が経とうとしています(2018/12 現在)。カープ、あなたがこの事情を知ったとしたら何を思うのだろうか。
健全であるということは否定はしませんし、そうではないもので苦しめられることはあってはならないとは思います。 ですがそれを達成するために、それらに関わる・纏わりつくあらゆる文脈をも分断することは 果たして真に健全で公平なことなのかどうなのかを、皆さんにも今一度考えてみていただきたいと思っています。